私を変えた日本の三作品

Three Japanese works that changed me

Kuro Usada

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日本は恵まれていると思います。 アニメやゲーム、小説など、たくさんの素晴らしい作品がこの地で生まれ、多くの人を魅了してきました。 今回はその中でも「私を変えた」といえる3つの作品をご紹介します。

新世紀エヴァンゲリオン (The Neon Genesis Evangelion)

1995年放送開始のTVアニメで、そのキャラクターや謎めいたストーリーが話題になり、一部の世代では社会現象になりました。 また、2007年からはTVシリーズの監督とスタッフによるリメイク作品として前四部作の映画シリーズ『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』もスタートしました。

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作品の内容と見どころ

中学生の主人公が巨大なロボット(厳密には人造人間)に乗って正体不明の敵と戦うというストーリーです(雑)。 しかし見どころはそこだけではなく、むしろテーマになっているのは心の成長や他人との関わりといった部分だと思います。 正直見る人によって見どころが変わるくらい多くの見どころが存在します。

大枠は以上の雑な説明通りですが、シリーズの中でストーリー展開は2種類、TVシリーズと旧劇場版で描かれるストーリーと新劇場版で描かれるストーリーが存在します。

私は圧倒的にTVシリーズが好きです!! 耳に残るメロディと革新的な映像表現による素晴らしいオープニングや、何度も繰り返し見て考えていくとやっと全貌が見えてくるストーリー、とても魅力的なキャラクターたち。 作中の用語は宗教や精神医学から借用され、心躍るアクションや恋愛、クスッと笑えるギャグがそこかしこに入れこまれています。 制作上の都合で作画がバラバラだとか、第25話は正直いらんのではないかとか、目を瞑る点もありますが、それを差し引いても非常にクオリティが高い作品です。

作品の思い出

私がはじめてこの作品を観たのは2008年の春、小学校を卒業し中学校へ入学する前の春休みだったと記憶しています。 パチンコ経由でこの作品を知った叔父が見てみようと誘って見せてくれました。 小学校入学前は幼児向けアニメなどを見ていた私は、その頃には他のことに夢中でアニメなど眼中になかったのですが、見ていくうちにどんどんと引きずり込まれて行きました。

そうしてハマった私をさらに作品にハマらせたのは、ファンサイト、つまり個人運営のホームページの存在が大きかったと思います(『ウェブサイト』よりも『ホームページ』の方がニュアンスを残している気がします)。 当時はブームの名残があり、二次創作と呼ばれるWeb小説やイラストが大量にありました。 殆どは二次創作の域を出ないものでしたが、中には一つの作品として完成されているものもあり、そういったサイトを回って楽しんでいました。

また、エヴァのストーリーは説明が少なく、それ故に想像する楽しみがありました。 劇中の手がかりや用語の意味から一貫したストーリーを構築していく作業はとても楽しかったのです。 そのために何度も作品を見るのですが、何度見ても飽きないので、ある程度自分なりにこういうストーリーだろうという結論を持った今でも思いだしたように見返しています。

おすすめの見方

エヴァ関係の作品は以下のように分類できます。

  • 1995年放映開始のTVシリーズ
  • 1997年から順次公開されたTVシリーズに基づいた劇場版作品(旧劇場版)
  • 2007年から順次公開中のリメイク作品(新劇場版)

このうち、私が圧倒的におすすめしたいのはTVシリーズです。 が、いかんせんそれだけでは(特に最後の2話が)意味不明だと思いますので、以下の順で見るのがおすすめです。

  1. 『新世紀エヴァンゲリオン』TVシリーズ(全26話)
  2. 旧劇場版の『Air/まごころを、君に』(TVシリーズの第25話・第26話で現実世界では何が起きていたかを描いている)
  3. TVシリーズの第25話・第26話を見直す

この時点でもまだストーリーが飲み込めていないかもしれません。 その場合はもう一度最初から見なおしてみると良いと思います。

旧劇場版は『Air/まごころを、君に』以外にもいくつか作品がありますが、資金と製作期間を確保するための映画のようで、基本的に内容はほぼすべてTVシリーズと『Air/まごころを、君に』とかぶっているので、見なくても問題ありません。

ちなみに新劇場版はTVシリーズを見てからの方が楽しめると思います。 もちろん新劇場版から見ても十分楽しいとは思いますが、結局はTVシリーズのIF作品(もしも〜的なパラレルワールド)という位置づけなので。

それから、曲にも注目です。 TVやCMでよく聞く曲のオリジナルがてんこ盛りで、TVシリーズ・旧劇場版・新劇場版のどれにおいてもその音楽は多彩かつ心地がいい良曲揃いなのです。

GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊

1995年公開の、士郎政宗原作・押井守監督によるアニメ映画。 ストーリーもさることながら、その演出が非常に高い評価を受けています。 攻殻機動隊は他にも映画やアニメなどのシリーズがあります。

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Ghost in the Shell 1995 logo

作品の内容と見どころ

生身の体の代わりに『義体』を用いてサイボーグ化したり、個人の脳が直接ネットワークに接続したりするようになった近未来。 未だ国家や争いは無くならない世界で『人形遣い』と呼ばれるクラッカーが現れ、攻殻機動隊は彼を追うが……

という感じのストーリーです(再び雑)。 ストーリーももちろん非常に示唆的で面白いのですが、この映画は『雰囲気』がすごいです

普通、映画などで描かれる未来は無機質で美しい綺麗なものですが、この映画ではごちゃごちゃとした現実感のある未来になっています。 その荒廃しつつも技術が発達した未来を舞台にして先述のストーリーが展開していくのです。

ちなみに、こういったサイバーパンク系SF映画でごちゃごちゃした未来を描いた映画といえば Ridley Scott 監督の『Blade Runner』です。 これもかなり面白い上に雰囲気が最高の映画なのでチェックしてみてください。

作品の思い出

初見はエヴァの項でも触れた叔父に薦められて見ました。 しかし「エヴァが好きならきっとこれも好きになる」との叔父の言葉も虚しく、中学1年生の私には少し難解でした。 その後、しばらく作品のことは忘れていたのですが、高校に入り、部活の仲間に薦められて再び見たところ、ハマってしまいました。 今でも何度も見返す作品です。

おすすめの見方

攻殻機動隊は士郎政宗の同名の漫画を基に、いくつかの作品があります。

  • 士郎政宗による原作の漫画『攻殻機動隊』
  • 押井守による映画作品『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』と『INNOCENCE』
  • TVアニメシリーズ『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』
  • 黄瀬和哉による映画作品『攻殻機動隊 ARISE』
  • ルパート・サンダースによるハリウッド版実写映画『Ghost in the Shell』

このうち、おすすめしたいのは押井守による1995年公開の映画『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』です。 実は続編として押井守監督による『INNOCENCE』という映画も2004年に公開されました。

ナルキッソス (Narcissu)

2005年に公開されたステージ☆なな制作のノベルゲーム。 全年齢対象で、いわゆるエロゲーやギャルゲーではなく、泣きゲーというジャンルに入ると思います。 とはいえ、ただ泣かせるだけではなく、非常に考えさせられる作品です。

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ナルキッソス

作品の内容

21歳の主人公は死を待つしかない患者のための病棟『7階』へ入ることになり、そこで出会ったセツミと病院を抜け出すという話です。

もともとはノベルゲームにおける表現の研究として作ったそうですが、この作品は『死』『自殺』という大きなテーマを扱っています。 実験的な表現とそれによって紡がれるストーリー、そして答えのないテーマ。 この作品は見る人によって感想が大きく変わると思いますが、見た人全員が考えさせられる作品でしょう。

作品の思い出

私は昔からノベルゲームが好きでした。小説でもアニメでもない、特有のメディアだと思います。 しかしお金なんてありませんから、必然的にネットで公開されているフリーゲームばかりやっていました。 高校3年生のある日、この作品を見つけました。 『ステージ☆なな』はある界隈では有名な『ねこねこソフト』の中の人のサークルらしいということを知った私は何気ない気持ちでプレイし始めました。 プロローグが終わった時点で、これは当たりかもしれないと感じ始め、次第に確信へと変わりました。 オートモードで2時間程度の短い作品ということもあり、何度も見返してはその時々によっていろいろなことを考えさせられています。

おすすめの見方

ナルキッソスは一応第5作まで出ていますが、おすすめしたいのは第1作の『narcissu』です。

  1. narcissu
  2. narcissu SIDE 2nd
  3. narcissu 3rd -Die Dritte Welt-
  4. ナルキッソス〜もしも明日があるなら〜
  5. ナルキッソス -スミレ-

ナルキッソス(水仙)のつづりは本来「narcissus」ですが、作品としては「narcissu」です。 これは自殺「suicide」の「s」を失くすという意味があるそうです。

第一作と第二作しかやったことのない私個人の意見ですが、narcissuは第一作が全てだと思っています(え)。 というのも、『narcissu SIDE 2nd』は『narcissu』の補足のようなもので、3作目以降はセツミと主人公というよりも『7階』に焦点を合わせているように感じるためです。 やったこと無いくせに何言ってんだこいつという感じですが、とにかく第一作の『narcissu』だけやっていただければ結構です。 他は気になったらやってください。

注意点として、必ず『ボイスなし』を一番最初にやっていただきたいということです。 narcissuはもともと、ボイスのあるなしの差異による表現の幅の違いを実験するための作品です。 しかし最初にボイスありをやってしまうとボイスなしをプレイするときにボイスありのイメージで上書きされてしまう可能性があります。 ボイス聞きたいからプレイするんだ!とか、ボイスありなしなんかどうでもいい、とか言わずに必ずボイスなしを選択していただきたいです。

ボイスなしを選んでもなぜか途中からボイスが再生されてしまうことがあるようです。 その場合は右クリック→「環境設定」→「ボイス音量」を「0」にしてくだい。

まとめると、以下のようになります。

  1. 第一作『narcissu』のボイスなしをプレイ
  2. ボイスを聞きたい方は第一作『narcissu』のボイスありをプレイ
  3. 第二作『narcissu SIDE 2nd』が気になる方はプレイ

なお、太っ腹なことに『narcissu』と『narcissu SIDE 2nd』はWebで無料公開されています。

詳しくはNarcissuは絶対やるべき!絶対!!を読んでください。